木内 淑規(きのうちとしのり)の大家塾|

「相続時精算課税制度」の恐怖!


相続時精算課税の制度をご存じの方も多いで しょう。
生前に、”2,500万円までは贈与税が課税されずに贈与ができる”というものです。これだけ聞くと、相続税増税が現実となった今、たいへんお得そうな制度です。
しかし、実際の相続時には”相続財産として課税”されるため、多くの場合は相続税の節税になりません。
よほど特殊な場合を除いて、私はお勧めしていません。その理由は、世間ではあまり知られていない、驚愕の事実が隠されているからです(怖)。

(1)制度の概要

あなたはすでにご存じだと思いますが、初めてお聞きになる方のために、簡単にこの制度の概要を説明します。
贈与税の非課税枠は、暦年1 年あたり110万円です。
5年で550万円、10年で1100万円が贈与税非課税です。
これに対し、「相続時精算課税」では、総額2,500万円までの贈与が非課税で、 贈与の対象や回数は無制限となっています(ただし、この金額を超過した場合は20%が課税されます)。
しかし、間題は、相続の時で、贈与したにもかかわらず、相続財産に取り込まれ相続税が課税されてしまいます。
もっとも、それまでに納めた贈与税があれば、それは相続税から控除されるため、損得なしと考えられなくもありません。
強いて間題点と言えば、贈与した時点での評価額で相続税も計算されることでしょう。
贈与した時点では1,000万円と評価された物が相続時に300万円になっていても、逆にl 億円になっていても、相続時には1,000万円での評価なのです。
単純に、値上がりしていれば得、値下がりは損と言ったところです。

(2)どんな使い道があるのか?

この制度、評価額の増減で多少の影響はあるものの、それを除いてどんな損得があるのでしょうか。
相続税の心配のない方なら、例えばアパートと言う収益物件の贈与が考えられます。
土地はそのままで建物だけを子に移せば、その賃貸収入は建物の所有者である子のものになります。
収入の少ないサラリーマンの息子や嫁に行った娘の生活が楽になるでしょう。
その後、相続や贈与時の建物の評価額は、”固定資産税の評価額”を用います。
もともと低い建物の固定資産税の評価額が、賃貸物件の場合はさらにその70%相当で済んでしまうため、贈与税の負担も比較的軽くなります。
もちろん、相続税が心配な方でも活用できない訳ではありませんが、一定規模以上なら建物を法人化する方がお得です。

(3)年功序列とは限らない!

ここで結論をお話しします。
「相続時精算課税制度」で一番恐いのは、”相続時精算課税制度で贈与を受けた子”が親より先に亡くなるケースです。
子が亡くなった時点で、子に特別な財産などがない場合でも、”相続時精算課税で贈与された財産”は、既に子の財産。
当然のことながら、子の相続税の対象となります。
そして、その金額が相続税の基礎控除額を超えていれば、その財産について、相続税の負担が生じることになります。
無税で贈与されたのですから、ある意味で仕方がないのかもしれません。
しかし、その後が問題です。
その後、”贈与をしてくれた父親”が亡くなると・・・?
先にお話ししたとおり、「相続時精算課税制度」とは、”贈与をした父親が亡くなった時に既に贈与した財産を、もう一度父親の財産として相続税を課税する”制度です。
つまり、一度、子の財産として課税された物が、今度は父親の相続財産となり、同じ財産について、一度のみならず二度も相続税が課税されてしまうのです。
まぎれもなく、これは二重課税です。
これを避ける方法はありません。
“子が早く死ぬのが悪い”、と言わんばかりの制度です。

(4)親の相続時に課税されなければ・・?

しかし、 もし、”親の相続時”に相続財産から除外することが認められるとしたら、一体どうなるのでしょう。
誰もがとりあえず生前にこの贈与をして、積極的に財産を移転してし-まうのではないでしょうか。
相続税は最高税率55 % の累進税率です。
決して幸せな事ではありませんが、万が一 にも子が先に亡くなった場合、思わぬ節税効果が生まれることになります。
その理由は、親の財産が20%の贈与税だけで移転できることになるからです。
それを防ぐために、国は、”子の相続時”にも”親の相続時”にも、相続税を課税するのでしょう(官僚は優秀です)。
税法とは、税金を召し上げるための法律です。
しかし、仕方ないのかもしれませんが、この二重課税については何らかの軽減策があってもいいのではないかと思います。
「相続時精算課税制度」は、納税者にとって大変お得な税制です。
しかし、この制度は、不幸にして”子に先立たれた場合”、二重課税されることを覚えておいてください。

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木内 淑規(きのうち としのり)

木内 淑規(きのうち としのり)代表取締役

投稿者プロフィール

インターネット書店アマゾン アパート・ビル経営部門ランキング1位「賃貸サバイバル時代に勝ち残る 地域一番「オンリーワン物件」の作り方(ソフトバンク・クリエイティブ社)」の著者。2005年、賃貸経営や空室対策、土地活用、相続税対策などのコンサルティングを主業務とする(有)ウェルライフ徳島を設立。現在、全国のクライアントの個別コンサルティングや土地活用スキーム構築の為の全国行脚を展開中。家族は4歳年下の妻と一女二男と愛犬一匹。1962年寅年生まれ。徳島県在住。血液型O型。

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