「空き家」が増えるホントウの理由!


昨年末に近所の居宅が全焼しました。

取引先の銀行の支店長から、「御社が燃えているって本当ですか?」と電話があり、その前後に消防車のけたたましいサイレンが気になっていました矢先の事でした。

その居宅には70歳前後のご夫婦と52歳の息子さんの三人が住んでいました。築20年以上経つ木造の建物で、玄関先のコンセントの漏電が原因とのことでした。

ご高齢のご両親と独身の中年男性は大事な事にはならなかったそうですが、かなり脱出に手間取ったそうです。前面道路はセットバックが義務付けられている道幅の狭い道路で、たくさん駆けつけた消防車一台がやっとの状態なのも全焼に拍車をかけました。

今回の建物は「空き家」ではありませんでしたが、周囲には誰も住んでいない「空き家」も多く、もしそこが火災原因になっていれば、今回のような一件のみの被害では済まなかったでしょう。

地方を中心に少子高齢化と人口減少、高齢者が亡くなった後、誰も住まない家が増加しています。

全国の空き家数は2013年で820万戸もあり、そのうち「放置された空き家」は318万戸で、5年前より50万戸(18・7%)増加しています。

消費税のさらなる増税前に、新築マイホームの活況が期待されている反面、なぜ空き家の流通が進まないのでしょう?それには税制で優遇されているのが原因です。
そのことを問題視している政府は、とうとう次のような方針を固めました。
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危険空き家の税優遇廃止…「放置」減らす狙い(読売新聞)
全国で放置空き家が増えている問題で、政府は、倒壊の恐れなどが顕著な場合、税制優遇措置の対象から除外する方針を固めた。
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住宅が建っていれば土地の固定資産税は減額されます。それが空き家放置の要因になっていました。臨時国会で成立した空家対策特別措置法(空き家法)では、周辺に危険や迷惑が及ぶ恐れが高いものを「特定空き家」と規定し、これを除外対象とすることを軸に早ければ2016年からの実施を目指しています。

これからどう空き屋を運用していくか、本気で考えるべき時が来ています。

もともと「貸す」という概念が田舎にはないためか、なかなか貸してくれる空き家が少ないのが現実です。そのせいで、外国人の移住希望者が多くなる中、現状としては物件不足の状態です。空き屋を貸したくない本当の理由とはなんなのでしょうか?それは先の税制だけでなく貸主の心理的な問題があります。

●貸したら盗られる?

地方ではいまだにそのように考えている高齢者が沢山います。こういう考えは今も根強く残り、借地の交渉に行く度に言われます。
その理由は、更新が前提の一般の賃貸借契約が根強く意識の中に残っており、貸したら返ってこないし借主が有利だと思っているからでしょう。
しかし、2004年に施行された「定期借家契約」では更新の概念がなく、期間が終了すれば貸主の意思で契約を継続するか、終了するかをある意味で選択できるようになります。
しかし、人はなかなか新しい事柄を試そうとしないのが世の常なのか、なかなか普及していないのが現実です(ちなみに私自身の物件は、法人契約を除いてすべて定期借家契約です)。

●ご先祖様に申し訳ない!

これも多いですね~。
地方では家を「ただの物件」とみる感覚は少なく、「代々続いてきた家を守る」という観念は今でも強力です。「ワシの目の弾の黒いうちは・・」と言い出したら大変・・・。家に愛着があるのもわかりますが、ご先祖様は現代の不動産の価値と所有コストを見てどう思うのでしょうか?現在、株式などの有価証券と違って、不動産は所有しているだけで固定資産税や都市計画税などのコストがかかります。にもかかわらず、固定資産税の納税通知書が届く時期はため息ばかり・・・。民法で一番強い所有権といえども、国家から土地を70年間賃貸する制度の中国と何ら変わりはありません。
さらに、子も孫も都会へ出て行ってしまい、空き屋になったまま数十年、誰も住んでいない家は日に日に劣化します。そして、自分が使命感を持って守ってきた不動産なんかより、現金の方が良いと都会に住む子孫に言われたとしたら・・・?
ご先祖様の遺言とは裏腹に、現代人の価値観は大きく変わってしまいました。

● 使わない不用品で家の中がいっぱい!

家や土地と言うものは広ければ広いなりに使ってしまいます。さらに、使わなくなった家には、色んなものがあちこちから集まってきます。
住んでいた当時のものがそのままあることも多々あり、そのうち、ちょっとくらい置いてもいいか・・と思っているうちに、手をつけるのもいやになるくらい家の中にたまってしまうモノ・モノ・モノ。
「こんな状態じゃ貸せないよ」という方も多いです。そして、貸すために不用品の処分を業者に依頼すると、腰に抜かしそうな見積金額・・・。その結果、いろいろな理由をつけて貸すのをあきらめるパターンも多いです。

●もったいない!

昔かたぎの人はとにかく始末・・・。
実際はもう誰も使ってなくて朽ちていくばかりの家ですが、「家を貸すのはもったいない」「中にあるものがもったいない」という考えに取り付かれてしまう場合が多いです。
私自身もその口で、普段明らかに使わないものに対して「もったいないし、とりあえず置いておくか」ってことが多々あります。けれど、本当に使わないものって、結局、いつになっても使わないんです。もし喜んで使ってくれる人がいるなら、どうぞって循環させていきたいものの、自分が使わない物は他人も魅力的ではありません。そして、いつのまにかスペースだけ占用して忘れられていくのが普通です。

● 次の世代が困る不動産!

昨年も県外の人から多くの土地売却の相談がありました。
「そっちで生まれたんだけど、今、県外で両親を引き取って生活しているから不動産を処分してくれない?」
「バブルの時に、将来暮らそうと思って買ったんだけど、もう不要だから買い取ってくれない?」
「高齢の親がもう長くないから相続でもめないうちに現金化したい?」
そのような都会で暮らす人達からの土地処分案件の依頼が後を絶ちません。
空き屋を誰かに引きついでゆくには、タイミングは大切です。朽ち果ててからじゃ遅い、「いつかいつか」と思っているうちに家が朽ちてゆき、自分が死んでしまった後、次の世代の人が困るケースもたくさんあります。
話しにくいし手をつけにくい問題だからこそ、親子とも元気なうちに話し合ってどうしていくのか?が大切です。
実際、徳島県神山町には「田舎の古い家だからこそ住みたい」という人の移住が注目されています。
高速インターネット回線がサクサクなせいで、自然の中で創造性を高めたい企業のサテライトオフィスや石で焼く特殊なパン屋さんの開業、クリエイティブな芸術家の移住など、過疎の町にもかかわらず移住が続いています。
灯りが消えてしまった家に、もう一度灯りがともること。人間の笑い声が聞こえてくること。そこから町や村がもう一度元気になっていく・・・
ある意味素敵ですが、この後、リーマンショック以上の経済的激震が起これば「空き家」についての価値観も大きく変わっていくような気がします。

 

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木内 淑規(きのうち としのり)

木内 淑規(きのうち としのり)代表取締役

投稿者プロフィール

インターネット書店アマゾン アパート・ビル経営部門ランキング1位「賃貸サバイバル時代に勝ち残る 地域一番「オンリーワン物件」の作り方(ソフトバンク・クリエイティブ社)」の著者。2005年、賃貸経営や空室対策、土地活用、相続税対策などのコンサルティングを主業務とする(有)ウェルライフ徳島を設立。現在、全国のクライアントの個別コンサルティングや土地活用スキーム構築の為の全国行脚を展開中。家族は4歳年下の妻と一女二男と愛犬一匹。1962年寅年生まれ。徳島県在住。血液型O型。

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